介護業界その実像

高齢化が急速に進む日本において、介護の問題は深刻です。内閣府の高齢社会白書によれば、令和元年10月1日の時点で、日本の総人口約1億2千万人に対し、65歳以上が約3500万人と、全人口の28パーセント余りを占めるという結果が示されました。増え続ける高齢者に、介護業界は慢性的な人手不足に直面しています。

人材が不足する要因のひとつとして、介護業界へのネガティブなイメージが挙げられています。介護業界にきつい、汚い、危険の3Kのイメージを持つ人が未だに多く、就職率に関係しているようです。また、介護業界は離職率も高いことで知られています。離職の理由についてはさまざまありますが、人間関係の難しさや、結婚、出産、といった人生の転機、さらには運営のあり方に疑問があり不満に思っている、と答える人もいます。他の産業に比べて労働条件が良くない、他業種などの景気が良いため介護業界に人材が集まってこないなど、問題が山積しているのが今の介護業界の現状なのです。

介護は人とコミュニケーションを取り、高齢者の人生に寄り添うというやりがいのある仕事ですが、仕事の内容はハードなものです。体の大きい高齢者を椅子から立ち上がらせるために持ち上げたり、ベッドに横たえるのにも多くの体力を要します。3Kのイメージをどれだけ払拭できるか、他業種への人材の流出をどれだけ食い止めることができるか。介護業界の今後は経営側の努力でイメージの向上に努めることで、少しずつ改善していく必要があるでしょう。